Course コース

グリーン改造について

改造後のコース全体の特徴

今回の改造は、コースそのものが持つポテンシャルを引き上げることを目標とし、継承された上田治氏の基本形を大きくは変えない方向性の中で工事は進んだ。
グリーンは多少手前がカットされ奥にシフトした様になった。
見た目の印象、若干強くなったアンジュレーション。
今までよりは小さくなったグリーンと、その新グリーンに接近されたバンカーに難しくなったと感じる方は多いかも知れない。
一方で、グリーンが絞られたという景観はターゲットを意識しやすくなったといえる。
また、セカンドショットは、『乗せることが出来れば何とかなる…』から、ピン位置によっては、『あのバンカーに気を付けてあの当りに乗せておかなければ…』というはっきりとした攻略ルートをイメージしやすいデザインとなり、より一層楽しめるコースとなった。
その様な意味では戦略性(ストラテジー)は、設計上の厳密な議論は残るだろうが、私的には十分に上げられたと感じている。
グリーンの始まりとエンドライン、幅として両端が出来るだけ分かりやすいように周辺の造形に変化を持たせた。
バンカーについては、打ち上げホールや林帯の陰に隠れて見えにくかったものや砂面を隠していた張りを整え、全体的にバンカーは見えやすくなり、ビジターにも分かりやすいコースとなった。
また、グリーンからの距離があまりに遠いところまで広がっていた部分をカットし必要以上のハザードエリアを削減すると同時に、深すぎたりオーバーハング的に顎が張りすぎていたものも修正し、必要以上の難度を無くすようにした。
それら全体的なプレイヤービリティー(プレーのし易さ)は上がったと思う。
グッドショットの価値を高め、ミスショットのペナルティーは若干増したものの大怪我の可能性は少なくなったといえる。
私自身の経験を踏まえれば、グリーン改造等において完成の姿を見ての感想として多くの関係者は口々に、『大分難しくなった』 という意見が大勢を占める。
しかし、実際プレーが始まれば、その声はどこかに消え去り、1年もしないうちにメンバーは慣れ、昔の姿は思い出せなくなるものだ。

中田浩人
グリーン改造工事設計・監修担当 中田  浩人 グリーンシステム㈱・日本ゴルフ
設計者協会 理事

グリーン改造を終えて

お蔭をもちまして若松は生まれ変わることが出来ました。
それは長い若松の歴史の1ページにしか過ぎない事とも感じます。改造をして、コースが落ち着いてくるのに3年は掛かり、5年目ぐらいから風合いが出てくるものです。
コースは自然の環境の中にさらされ幾度とない四季を経験する中で、大切にメンテナンスをされながらも、わずかな風化を重ね熟成しながらその姿は徐々に変化してしまう生き物と言えます。
どんな美人に育てられるかは倶楽部の今後のコースへの向き合い方に掛かっていると思います。
コースはよく自然の中に佇む宝石のようにも喩えられることもあります。
この若松がメンバーの皆様にとって大切な宝物として愛されることを願います。

2019,7月  中田浩人